2023 和紙、木材 サイズ可変
例えば犬が壁に日々体を擦りつけていたことでできた跡に対し、数ヶ月後、それをふと意識した瞬間に跡がただの跡ではなくなるように、私と私を取り巻く状況および環境の関係は微小に変容し続けているように感じる。
私はその感覚を可視化しようと、制作中に自身と対象の間に生じる関係性を作品としている。
9.8g とは、制作中にたまたま一段階の彫りによって分解された版の重さである。紙に写す時、その 9.8g は紙の地として特定の場所に残る。そして分解された 9.8g は定まる場所をもたない。
私はこの作品でその対比の変容を試みている。